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木彫は楽しB


―――――人形ほか―――――


キース・ジャレット・コンサート」 演奏は佳境!
 ジャズ好きの人なら、誰を彫ったかわかるに違いない。椅子の要らないピアニスト……演奏が佳境に入ると立ち上がり、足踏み、唸り、叫ぶ、私が最も心酔するアーチスト、キース・ジャレット! 彫り始めのとき、あまり似ていないので控えていたが、アフロヘアっぽい頭に修正、顔も彫りを深くしたら似てきたので、名を冠するタイトルにした。

 彼は今、脳溢血で左手麻痺の状態と聞く。神域と言っていいほど魂をゆさぶるメロディを紡ぎ出した奏者の心境を思うと、あまりに哀しすぎる。この世に奇跡というものがあるなら、彼の両手を回復してほしい、座ったままでいいから演奏してほしい、と願うばかりである。2024/1/15




天狗の面」 オンコの端材でミニ彫刻
 木彫サークルの先輩からオンコの端材をいただいた。オンコは北海道の方言で、正式な和名は“一位”、彫刻〜工芸品には最高級の材料だ。だから余すところなく活用しようと、ミニ彫刻を何個かつくることに。まずは、文鎮の天狗の面を真似て根付風に彫ってみた。硬い樹種といわれているが意外にサクサク彫り進んだ。サークルの例会には、材料、叩き鑿、ハンマー、彫刻刀などを入れて、けっこうな重さのバッグを背負って出かけるのだが、ミニ彫刻だと小さな材料と彫刻刀だけなので、往復がラクだ。貰い物でしばらく楽しめそう。2019/8/2




吾輩のヒゲは猫である」 似顔の難しさ
 『吾輩は猫である』に登場する主人公は黒猫のようだが、漱石先生の髪や服装の関係から、どこもかしこも黒くては味気ないので、白黒の斑猫にアレンジした。また原作では漱石自身、猫好きではないらしいけれど、猫はスリスリして甘えているポーズ、先生も横目でそれに応えている表情に。そんな小細工のせいか、肝心な文豪の顔がさっぱり似ていない。もっと目を細くすべきだったかな……彫った段階ではわからず、彩色してはじめて気づき、似顔の立体化の難しさを痛感。2019/3/18




四股−揃い踏み」 猫も踏んじゃった
 四股を踏む力士は以前に彫ったが(このページの下)、大相撲のTV放送を見ていて頭の傾き、手の位置など微妙な違いに気づいた。で、よりリアルに表現すべく彫り直す。始めソップ型にするつもりだったが、アンコ型に高く足をあげさせるのも面白いと思えて変更。彫り進むうちに猫を加えるアイデアが湧き、太りすぎニャンコは思うように足が上がらないのでシッポで補う形に。リアル追求はどこへやら、結果はマンガ風になってしまった。2018/5/10




メタボ猫と赤ん坊」 ミニ彫刻を拡大して
 いいアイデアが浮かばないので、以前に彫ったジェルトン材のミニ彫刻を、少し大きいヒバ材に彫り直す。同じ形を拡大すればいいだけ、と安易に考えて取りかかったが、案に相違した。自由に彫り進むのでなく、絵でいえば模写、書でいえば臨書のような作業。自分のオリジナルを真似るのだから誰に気兼ねもいらないが、同じように忠実に彫るということがいかに窮屈で、面白味がないか思い知った。硬い材質で仕上げ彫りまでほとんど叩き鑿の作業、彫りも塗りも微妙に変わった。前作に比べ、色白の都会っ子のように感じるのは木質のせいか。2016/10/27

メタボ猫と赤ん坊2



ピンポン」 機敏に打ち返す猫
 猫がピンポン球に反応する動画を見た。前足で正確に打ち返し、丁々発止とラリーが続くので感心した。イイトコ撮りの編集をしたのかもしれないが、肉球がラケットのラバーの働きをして球をしっかり捉えるのだろう。しかし何よりもその瞬時の機敏さに脱帽。動画をヒントに、余り材を利用してミニ彫刻を試みた。そうだ、こんな回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)があったっけ。「かるいきびんなこねこなんびきいるか」、全然関係ないけど思い出した。2016/8/6

球を返す猫 スマッシュ



ランドセル大好き」 私のよ、出なさい
 小学1年生の女の子が、教科書やノートを揃えていると、いつの間にか猫がランドセルに! 猫はこういう穴場(?)が大好き、野生のころ外敵に襲われないよう木の洞なんかにもぐり込んだ習性の名残らしい、入ると安心するようだ。ピカピカの1年生は少々おかんむり、「だめよ、出なさい。私のランドセルなんだから」 ……4月の新入学期に間に合えば、と思っていたのが、意外に早くできた。2016/3/17

ランドセル大好き1 ランドセル大好き2



お外に行きたい」 同じ気持ち同じ姿勢
 窓越しに見る戸外は、なにやら面白そうな光景が広がっていて、よちよち歩きの幼児に好奇心がふくらむ。猫だって同じ気持ち、だから同じ姿勢。窓ガラスに押し当てる手と前足の形で、あたかも透明なガラスがあるように見せたいのだが、そう見えるだろうか。余り材を利用したので小さすぎ、こまかな細工で意外に手間取った。2016/2/12

お外に行きたい-正面 お外に行きたい-側面 お外に行きたい-ウインドウ



舌出し天使」 しまい忘れだよ
 猫はときどき、舌を出したまま気づかずにいることがある。人間なら“だらしない”状態なのだが、どういうものか愛猫家はこれも可愛いと感じてしまうようだ。この少女は、自ら舌を出して猫に教えているが、私だったら指でつまんで引っ張っちゃうかも。連日の猛暑で汗だく、こっちまで舌出しながら仕上げた。少女はスカートを履かせ、“ぺたんこ座り”にしたのに、どうも男の子の感じだな。2015/8/12

舌出し天使-側面 舌出し天使-正面



「ギャングごっこ」 母猫の反撃
 昔、『ベビーギャング』という漫画があった。人気が高まり“いたずらっ子”の代名詞になった。そんなことを思い出しての発想……パパのサングラスをかけ、おもちゃのピストルを構えた幼児が、すっかりワルぶって脅すものだから、子持ちの猫は母性本能をあらわし反撃! 彫りも彩色も楽しめた。ユーモラスな作品は出来はともかく、作ることが面白い。2015/7/10

ギャングごっこ1 ギャングごっこ2



「釣り人と猫たち」 あくび猫を追加
 以前に彫った小品に、もうちょい笑えないかと大あくびの茶トラを加えた。端材活用で、下絵なし、彫り方もかなりいい加減、粗彫りに彩色しているので、この1匹もそれに合わせた。しだいに猫たちの数が増え、そしてみんな待ちくたびれ、しびれを切らしている。“期待”に応えられるのか、釣り人の表情に変化はまったく見られない(当たり前だね、木製なんだから)2015/6/20

釣り人 釣果なし 待ち疲れて



メタボ同士の「おひるね
 ほのぼのシリーズ10作目は、メタボ同士が仲よく昼寝。当初、やや肥り気味ていどの体形を考えていたのだが、選んだシナ材が彫刻刀の入りづらい材質で、作業が思うように進まず、贅肉を落とすのをやめてしまった。
 彩色してみたら、想定以上の肥満体〜寝顔の脱力感に、おい、そろそろ起きて運動しろよ、と言いたくなった。2015/6/12

おひるね-上 おひるね-横



ツーショット」 自画撮り
 ヒトとネコが頬寄せあって、スマホで自画撮り。最初、むくつけき男とかわいい子猫との組み合わせを考え、その対比が面白いと思ったのだが、どうも男の照れ笑いとも苦笑いともいえそうな、微妙な表情が描けない。それが女の人であれば、どんな笑顔でもこの場面に合う、と発想を転換した。
 ところが人間の顔は難しい。1〜2ミリのずれで表情が微妙に変わる。若い娘さんをイメージして彫ったつもりが、なんだか若作りしたおばさんになったみたい。2015/5/17

ツーショット正面 ツーショット側面



「斉唱」 猫と歌う
 少女が弾くピアノにつられて、猫もいっしょに歌い出した? 猫が歌うわけない、という人がいるかもしれないが、日ごろ可愛がっている少女が歌えば、口真似くらいするかも……との、軽〜いアイデア。
 少女の細い指先が欠けそうで、刀をよく研ぎ、細心の注意を払って彫った。またピアノのキーボードが意外に難しく、全体幅から1鍵3ミリ幅に割り出し、バーニングペンで区切った。譜面台、譜面、ペダルともにミニサイズなので、木彫というよりプラモデルを作っている感じだった。2014/11/18

猫と歌う1 猫と歌う2 猫と歌う3



ヨガ」をしていたら
 ヨガをやっている女性の上に、猫がきて乗っかった。
 この形は“鋤(すき)のポーズ”といって、首筋、背中の緊張をほぐし、お腹の引き締めに効くとか。またストレスを解消し、精神を安定させる効果もあるという。しかし肥り気味の人にはかなり苦しい姿勢だ。それでも美しくなるために必死、そこへ愛猫が……猫は高いところが好きである。もちろん温かいところも。2014/11/1

ヨガ



「捜し物」 猫もお手伝い?
 冷蔵庫の下に、何か大事なものが転がりこんでしまった。狭い隙間なので手は入らず、奥のほうにあるようだが暗くてよく見えない。長い棒状のものでなんとか取り出そうと懸命の男に、猫も心配して、健気にも前足を伸ばしてお手伝い……いや、ただジャマをしているだけかな。小道具にゴルフのパタ、孫の手も添えてみた。久しぶり、端材利用ほのぼのシリーズ。2014/8/18

捜し物1 捜し物2



「四股」 シコ彫っちゃった
 四股の理想形をめざして彫ってみた。大相撲のテレビ中継を見ると、こんなふうに両足を頭上まで上げる、美しい形ができている力士は“遠藤”くらいだ。大方は膝をほんのちょっと申しわけ程度に上げるだけ。基本が全然なってないじゃないか、とつい怒り声になって、私も真似てみた。上げる足は全然伸びず、支えの足はよろけるばかりで、なかなか難しい。そういえば「シコふんじゃった。」という、腹が痛くなるほど笑った映画があったっけ。それにしても……。2013/11/10

四股



「好日」 3人と1匹の家族
 30代の妻、小学生の娘たち、自分も人間だと思っているらしい猫……昭和の頃のわが家族構成である(私はこちら側にいるカメラマンの気分)。これまで主に単体を彫ってきたが、群像彫刻(ちょっと大げさかな)は形が複雑になった分、手間どった。とくに猫の背から3人の足の隙間に彫刻刀の入らない角度があって、ドライバーでこじったり鉄切り鋸で引き切ったりと、あの手この手を費やした。また表情のバランスがけっこう難しいことを知った。彫りながら、私の人生で最も華のあった時代かな、と思い、家族という平凡で小さな幸せを、いまさらのように感じた。2012/3/15

好日-正面 好日-背面



「うちの若」 重たいけど我慢
 背中に乗っかった赤ん坊が寝てしまい、逃げだすのはわるいような、同時に面倒くさい気がして我慢しているメタボ猫。下絵が決まると一気に2日で彫り上げた。ところが苦手の彩色でつまずく。最初、猫の体をアクリル絵の具で着色したものの、小学生が塗ったみたいにゴテゴテ、テカテカ、濁りまで生じて気に入らず。表層を削り直し、配色も考え直して、今度は予め水を塗っておき、その上に薄めたポワーステインを塗ってぼかしてみた。アクリル絵の具の塗り方がどうも身につかない。で、アクリルは赤ん坊のおしゃぶりとおむつ、猫の目、鼻〜肉球と、最小限の部分塗りにとどめた。2011/11/15

うちの若1 うちの若2



「孫がわり」 ばあちゃんと猫
“ほのぼのシリーズ”3作目、飼い猫をおんぶしているばあちゃんの情景。先日、テレビの“ナニコレ珍百景”で見たのがヒント。最近のばあちゃんはけっこう若づくりをするので髪を染める人も多いが、年相応な銀髪にし、割烹着だけピンク色にして女気を残した。猫は、メタボ過ぎて、かなり重そうになってしまった。どうか腰を痛めませんように。2011/4/1

孫がわり1 孫がわり2



炬燵こたつ」 人も猫も爆睡中
 余りものの木片をあっち向けたりこっち向けたりして眺めていたら、酷暑の真っ只中なのに季節外れのアイデアが浮かんだ。炬燵が暖かくて気持ちよく、人も猫も眠ってしまったシーン。鉛筆で大雑把に当たりをつけ、浅丸刀で一気に彫る。色付けしたら、なぜか粘土細工のようにしか見えない。廃物利用だから、まあいっか……。2010/8/8

こたつ



達磨だるま」 神木を彫る
 樹齢1000年のオンコ材で彫った達磨の根付。硬くて難渋したが、サンドペーパーをかけるときれいな木目が現れた。材は私の第2の故郷・士別で神木とされる、市文化財〜北海道保護木の“祖神の松”。といっても神木を削り盗ってきたのではない。かつて樹木医の診断で、老齢化した巨木の腐朽部分を除去し発泡スチロールで埋める延命措置をとった。その作業のときに出た破片を1個拾ってきたものだ。“長寿”のご利益があるかもしれない。2007/8/25

ダルマ


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